占い暦145 書家・野尻泰煌先生の事

丙申年 癸巳月 丙午日 曇り 「棒のナイト・逆位置」

 

今日は、書道のレッスンの日…

 

朝の11時、板橋区十条にある、野尻先生のお教室にいつものように通いました。

 

書道教室

 

いつもここで、野尻先生の芸術に関するお話を聞きながら、書のお手本を頂いてきます。

 

そしてそれを、1ヶ月後のお教室までに、書いて仕上げてくるのですね。

 

野尻泰煌先生は、世界中の美術館から、収蔵依頼が殺到している書家の第一人者ですが、少しも偉ぶった所がない本当に素敵な先生です。

 

今日も、芸術に関する、たくさんのお話をお聞きしました。

 

野尻先生は、芸術というものについて、「飽きるくらいの境地でないと、本筋が見えてこない」 とおっしゃいます。

 

よく「好きこそものの上手なれ」とは言いますが、ただ「好きだ」というレベルでは、まだまだ甘いとおっしゃるのですね。

 

例えば、うな重に例えるなら、「うな重が好きで好きでたまらない」という気持ちで、悦に浸りながら、うな重を食べているのは、まだまだ浅いと…

 

そうではなくて、うな重を食べて食べて、食べ飽きた段階でこそ、初めて、本物のうな重の価値がわかるのだ、とおっしゃいます。

 

これは、すごく含蓄がある言葉です。

 

この「飽きる」という概念は、非常にわかりにくいのですが、言いかえるなら、「意を介在させないで、自然にやる」という事…

 

いわば、無心になって、囚われる事なく、対象に対して、あるがままに接するといった所でしょうか。

 

この自然体の境地からしたら、「好きだ」という思いも、囚われの一つにすぎないという事なのでしょう。

 

まさに、この部分が、野尻先生の凄みなのかも知れません。

 

こんな風にさらっと、まるで生き物を扱うかのような、すごい筆さばきを見せてくださいます。

 

野尻泰猇先生の筆さばき

 

野尻先生の書は、古の時代から、書聖と評される王羲之(おおぎし)の書を、よくお手本にされます。

 

下の写真は、野尻先生がその例を示してくれたのですが、よく一般的には、左の文字のように、ベタッとした感じの文字がお手本にされるのですが、正しい筆さばきをすると、右のような字になります。

 

記

 

どちらの字も、字の形そのものは全く同じですが、そこから出てくるエネルギーのようなものは、見事に違ってしまっているのは、僕ら素人からしても一目瞭然です。

 

野尻先生の授業は、こんな風に、ダイレクトに書のテクニックを教わる事もありますが、どちらかというと、書のテクニックに何の関係もなさそうなお話も多いんです。

 

でも、そういうさりげないお話の中に、芸術の真髄があったりするんですね。

 

今日はいきなり、カメラの話になりました。

 

これ、昭和の初期の頃に発売された、野尻先生愛用のカメラ…

 

カメラ

 

なんと、超レアモノの、今はなきコダック社のカメラ…

正確にはドイツ・コダック社のカメラで、昭和初期に発売されたものです。

 

こういった珍しいものが、書の教室の部屋のあちこちに置いてあります。

 

このカメラ、被写体の距離を測って、カチャカチャと、レンズの所のダイヤルを回して、ピントを合わせるんです。

 

今のデジカメのように、画面で写真を確認できる訳ではないので、現像がすむまで、写した写真がちゃんと写っているかどうかもわかりません。

昔は、カメラといえばそういうものでした。

 

でも、こうしてカメラのボディを見てみると、何とも言えない良さがありますね。

 

デザインそのものは、決してスマートではなくて、一見すると野暮ったいのですけど…

 

でも、だからこそ味わいがあるといいますか…

 

野尻先生が伝えたかったのは、こういう事だと思います。

 

この後、野尻先生が、今度の展覧会で出品しようとしている作品を、少しだけ見せて頂いたのですが、何とも見事なものでした。

 

うまく説明できませんが、この当たり前にある現実というものを一瞬くつがえしてしまうような、強烈な衝撃が伴うような文字でした。

 

そしてなんと、野尻先生から、貴重な作品を結婚祝いに頂きました。

 

無事

 

文字はもちろん野尻先生直筆ですし、額装も全て、野尻先生が作ってくださったんです。

きっと、かなりのお時間を使ってくださった事と思います。

 

ただただ、感謝の言葉しかありません。

 

なんと、裏面には野尻先生からのメッセージが…

 

裏面

 

僕の書の姉弟子もある、高天麗舟先生からは、素敵な信楽焼の器を頂きました。

 

信楽焼

 

この器、見れば見るほど、すごく自然体でセンスが良いです。

 

大切に使わせて頂きます!!

 

しばし、書の教室で珠玉の時間を過ごした後、十条の鴨書店へ寄り道しました。

また、このお話は明日のブログにでも書かせて頂こうと思います。

 

本当に本当に素敵な一日でした。

 

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2016年5月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : futoshi