2020.05.03西日本紀行記 ~出雲・山口への旅~<10>縁結びの大神に全てをゆだねて
2020年5月3日(祝)
気がつけば、もう5月…
春が、僕は全季節の中で一番好きですが、4月でも時折、寒いと感じてしまう寒がり屋の僕にとって、とりわけ、新緑の5月は、本当に過ごしやすくて、大好きです。
とはいえ、世界中が新型コロナの猛威にさらされている今、このゴールデン・ウィークも、ずっと家にこもって、パソコンで仕事をしている事になりそうです。
新型コロナの影響で、講座を延期にしたり、直接鑑定をお断りしたりと、思うようにならない事も多いのですが、逆に、こういう時期でもなければ、これほどまでに仕事に集中できなかったと思うし、なるべくポジティブに、僕は考えるようにしています。
書きすすめておきたい文章が山ほどあって、このブログも、1週間から10日おきぐらいになってしまっていますが、ほとんど遊びに時間を使う事なく、毎日、仕事に精を出しています。
いつかそう遠くない未来、今書いているこの文章を、皆さまにお披露目できたらと、思っています。
ただ、こうしてずっと、文章を作っていると、気持ち良いこの陽気のせいか、たまらなく眠気に襲われて、ここ最近、うたた寝してしまう事が、本当に多くなりました(笑)
さて、今回の「西日本紀行記」は、出雲編のメインイベント「出雲大社 縁結大祭」に参加した時のお話です。
あれからもう、半年余りの月日が経っているのですが、実は、この縁結大祭に参加して、明らかに、素敵な縁が結ばれたと、実感できる事があるのです。
半年前の頃の僕は、京都への長期滞在で、東京でやらなければいけない仕事が、ものすごく溜まってしまっていて、今以上に時間に追われていました。
そんな状態で、サロン ド シルフィーユの後片付けさえも、ままならない状態でした。
資料を見ながら、原稿を作る仕事をパソコンでやっていると、広げた資料なんかが、床に積み重ねられていき、たまに、食事をしながら仕事をしたりする時があっても、仕事に集中すると、部屋を片付けなかったりするものですから、本当に散らかっていました。
そして、翌日が鑑定日だったり、講座の開催日だったりした時は、その散らかっているものを全部、押し入れに突っ込むという悪循環を繰り返しをしている内に、だんだんとひどい事になっていきました(笑)
京都のIさんは、その状況を知っていたので、心配して「掃除に行きましょうか」と持ちかけてくれたのですが、何せ、遠く離れた東京ですから、頻繁に来れるような場所でもありません。
実は、縁結大祭に参加して2か月後のお正月、僕がまだ独立して仕事を始める前からお世話になっている、ある女性の方から、Rさんをアルバイトに雇ってはどうか… という提案があったのです。
Rさんは、サロン ド シルフィーユの近くに住む家庭の主婦で、ちょうどお昼の空いている時間帯を、うまく活用できる短い時間のお仕事がないか、探しているとの事…
このタイミングでの話ですので、きっと良い縁に違いないと思い、すぐにお願いする事にしました。
早速、お仕事をして頂いたのですが、Rさんは家庭の主婦だけあって、お仕事が手際よくて、押し入れの中の後片付けは、ほんの2日余りで終わってしまったのでした!!
サロン ド シルフィーユのソファーの下とか、本棚の中とかには「絶対に取っておいても使わない事はわかっているけど、捨てられない物」が、たくさん入っていたのですが、Rさんは、僕を説得して、それらを全部片っ端から捨ててくれました。
それから不思議な事に、仕事上でも人間関係においても、本当に必要なものかそうでないものかの区別が、僕の中でハッキリつくようになって、やるべき事がハッキリと見えてきて、見違えるほどに運が良くなったのです。
Rさんを紹介してくださった、その女性の方は、子供の頃から日本舞踊をされていて、小学生の時の生まれて初めての舞台が、なんと出雲大社の神楽殿での舞踊だったとの事…
まさに、これは出雲の神様が引き寄せてくださった縁だとしか思えません。
メルマガには、「出雲大社の巫女をしていた」と書いてしまったのですが、思い込みの誤情報でした(^^;;
さて、縁結大祭の前日は、藤尾美友先生や、ツアーのメンバーと直会(なおらい)で、お酒を浴びるくらいにのみ、気がついたら部屋のベッドで眠っていました。
そして、翌日の朝、一緒の部屋のSさんが、僕を起こしてくれていました。
Sさんは、写真が趣味で鉄道オタクでもあるという、優しい男性です。
そして、ぼんやりとした頭で、朝食を食べ、その後、スーツケースの中に荷物を詰め込みました。
出雲の旅、3日目の朝…
今日は、これから出雲大社で開かれる「縁結大祭」に参加し、その後、いくつかの神社仏閣に行って、米子駅でツアーのメンバーと別れて、そこから電車に乗って、山口へ向かう予定となっています。

「湖畔の温泉宿くにびき」は、神西湖(じんざいこ)に面しているホテルで、料理も美味しくて、温泉もとても良い湯でした。
お店の売店で、思い出にと、大国主神(オオクニヌシ)が、ほのぼのとした顔で書かれている、神在之里(かみありのさと)本舗さんのTシャツを購入して、ツアーバスに乗り込みました。
ちなみに、神在之里本舗の「ひどい八十神(やそがみ)おみくじ」の内容は、危険すぎる(笑)
向かう先は、縁結大祭の会場である出雲大社本殿…
「湖畔の温泉宿くにびき」からですと、神戸川を渡って、10km近く北上した所に、出雲大社があります。

ツアーバスに乗って、20分弱ぐらいで、昨日も参拝させて頂いた、出雲大社に到着をしました。
バスから降りて、鳥居をくぐり、出雲大社の本殿の方へ向かって、歩いていきます。
この頃には、僕もツアーのほとんどの方と顔見知りになって、お話しできるようになっていました。
僕は、男性のHさんと、いろいろお話をしながら、出雲大社の境内へと向かう参道を歩きました。

縁結大祭だけあって、ものすごく込み合っています。
それもそのはず、日本全国の各地から、この縁結び大祭に参加しようと、ものすごい数の参拝客が訪れるのですから…
この頃は、その後、中国武漢で発生して大問題になる新型コロナの事も、全く報じられていない時でしたから、ここにいる誰もが、まさか数ヶ月後に、世界がこんな状況になっているとは、思い浮かびもしなかったはずです。
その日は11月にもかかわらず、結構暖かくて、Hさんと「今日は暖かくて過ごしやすいですね…」みたいな話をしていました。
「東京でも、結構暖かかったので、出発した日の朝、うっかりコートを忘れて家に取りに帰ったら、大変な目に…」
…と、ここまで話した僕は、ハッとしました。
今、その家に取りに帰ったはずのコート(2020/2/7 ブログ 「出雲・山口への旅~<1>プロローグ」 参照)を、着ていないのです。
急に黙り込んでしまったので、Hさんに「どうしました?」と、心配されたりしましたが、これは、ちょっとシャレにならない状況である事に、すぐに気づきました。
どうやら、コートを「湖畔の温泉宿くにびき」の部屋の中に、置き忘れてしまったようです。
事情を話すと、みんなが集まって来てくれて、相談に乗ってくれました。
出雲大佐の縁結大祭のスタートまで、もう1時間ぐらいしかありません。
僕をこのツアーに招待してくれたKさんは、「僕の分の受付を代わりにしておくので、今すぐ、タクシーでホテルまで飛ばして往復すれば、ギリギリ間に合うから、コートを取りに行った方がいい」とアドバイスをくれました。
それとは逆に、Tさんは、もうすぐ縁結び大祭が始まる前に、受付で絵馬に願い事を書いたりする時間も必要だから、コートはあきらめて、新しくこっちで買った方がいいのではないか…」と、アドバイスをくれました。
確かに、その方がタクシー代も掛からないし、合理的かも知れません。
即座に決断を迫られる状況でしたが、僕はKさんの意見に従って、今、持っている荷物をKさんに預け、タクシーを探す事にしました。
この後のスケジュールの中で、コートを取りに行く事ができるのは、今しかなく、もしも、そのままにしてしまったら、山口に行ってからコートを買うしかありませんが、山口で過ごしている時も、ずっと出雲に置いたままのコートの事を、心の片隅で気にしていなければならないのが、たまらなく嫌だと思ったからです。
もちろん、この場を離れれば、絵馬に願い事を書く時間は、なくなってしまう可能性が高いのですが、この時ふと「もう、それは書かなくていいかな…」と、思ったのです。
半年前の頃の僕は、正直いうと、心の中で「こうなったらいいな…」みたいに思っていた縁を、まだ持っていた時期でしたから、絵馬に願い事を書けるなら、こんな事を書きたいな… みたいなものも、少なからずあったのです。
とはいえ、その願い事が叶う事が、正直言って、大局的に見た時、本当に良い事かどうかなんてわからない…
だったら、そんな小さな願い事はしないで、この機会に、全てを神様に委ねてしまおう… と、この時思いました。
僕は、大通りに向かって、全速力で走って、タクシーを探しました。
5分ほど、タクシーが見つからなくて、道路をうろうろしていたのですが、何とか1台見つけて、「湖畔の温泉宿くにびき」に、直行しました。
タクシーの運転手さんに、ホテルの前で待っていて頂いて、フロントに事情を話し、部屋の鍵を借りて、休んでいた部屋へ直行しました。
部屋の衣装ケースの中に、コートだけではなく、他にも、前日に来ていたスーツとかネクタイとか、たくさん忘れていました(笑)
お酒のせいもあるとはいえ、何という、間抜けなのだろうと、自分で自分の事がおかしくなりました。
とにかく、それらの衣類を、コートを風呂敷がわりにしてくるんで手に持ち、タクシーで大慌てで、出雲大社へと引き換えしました。
所要時間は約50分、往復でかかったタクシー代は、6千円ぐらいでしょうか…
Kさんに連絡をして、息を切らしながら、縁結大祭の会場へと急ぎました。

Kさんが全部受付も済ませてくれて、しかも僕の為に、最高に良い席を取っておいてくださいました。
なんと、座りながらにして、本殿で行われている縁結び会場の神事の様子が、ここから伺えるのです。
ありがたいなあ… と思い、涙が出そうになりました。
しかも、Kさんが絵馬も取ってきてくださっていて、今、絵馬を書けば、受け付けてくださるとの事…
僕はボールペンで、書き綴りました。
当初、書こうと思っていた内容は、書かない事にしました。
本当に大切な縁なんて、どこにあるかわからないし、自分のちっぽけな思惑を願えば願うほど、清らかでなくなってしまう気がしたんです。
少なくとも、それは澄み切ったこの場所にふさわしくないように、感じました。
だから「自分の得意分野の占いで、世の中の人の役に立ちますように…」とだけ、絵馬に書きました。
きっと必要な縁は、大国主命が導いてくださるはずだし、神様なのだから、絵馬なんかに書かなくたって、今の気持ちも全部察してくれた上で、最良の縁を授けてくれるはずです。
そして、いよいよ縁結大祭が、始まりました。
境内の中には、2千人ぐらいの参加者が集まっていて、ひしめき合っていました。
縁結大祭では、北海道から順に沖縄までの四十七都道府県と海外に分けて、住んでいる地域ごとに8つに区分し、それそれの代表の方が絵馬を奉納して、みんなで柏手を打ったのですが、東京を含む6つの都道府県の柏手が、一番響き渡っていました。
おそらく、関東圏の方の参加している割合が、最も多かったのではないかと思います。
席の前に設けられている柵の隙間から、出雲大社の千家国麿(せんげくにまろ)宮司が、本殿の階段を上がっていくのが見えました。
本殿の帳(とばり)が開けられ、出雲大社の千家宮司が参進し、お神酒などが次々と奉納されました。
その後、その場の全員がお祓いを受け、その場の全員で謝恩詞(しゃおんじ)を奏上し、その後、いよいよ宮司の祝詞奏上となります。
凛とした澄み切った空気の中、おごそかで清らかな時間が過ぎていきました。
目に見えない世界では、日本全国の八百万の神々も、この場に集まって、大国主命の元で粛々と会議をしているのかも知れません。
縁結大祭を終えて、人だかりの中、ツアーのメンバーは、縁結大祭の授与品を受付で受け取り、もう一度集合しました。
そして、先達の藤尾美友先生の後について、本殿から歩いて10分ぐらいの所にある出雲大社の摂社「命宮社(いのちのぬしのやしろ)」へと、向かいました。

命宮社の主祭神は「神皇産霊神(カミムスビノカミ)」…
あんまり聞いた事のない名前ですが、神皇産霊神は万物創生の根源の神とされ、この世界が作られた時の「天地開闢(テンチカイビャク)」の中の造化三神(ゾウカサンシン)の一柱であり、造化三神と言えば、伊邪那岐(イザナギ)や伊邪那美(イザナミ)の夫婦神に、たどりつく神世七代(カミヨナナヨ)よりも前の別天津神(コトアマツカミ)の神様です。
うちはシスイのコトアマツカミは無敵…
と説明しても、一般の人には「なにがなんだか」だと、思いますが…
ちなみに、皮を剥がれたウサギに海水に浸かるようにすすめた、あの意地悪な八十神は、なんと大国主神を、陰謀によって、一度殺してしまうのです。
その時に、𧏛貝比売(キサガイヒメ)と蛤貝比売(ウムギヒメ)の二人の女神を遣わして、もう一度、大国主神を生き返らせたのが、この神皇産霊神だと言われています。

そして、この命主社の社の前には、巨大な椋(むく)の木があります。推定樹齢が一千年ほどと言われていて、高さが17mもある見事なまでの巨木です。
全員で、命主社に参拝し、この巨大な御神木のパワーを浴びました。
命主社を出て、さらに東に向かって歩いていくと、そこには湧き水がありました。

これは「真名井の清水(まないのしみず)」呼ばれる湧き水で、島根の名水百選にも選ばれています。
真名井の清水の御祭神は「彌都波能賈神(みづはのめのかみ)」と言われていて、伊邪那美の尿から出来たとされる神様です。
みんな急いでいたので、長く立ち止まる事なく、真名井の清水は通り過ぎていきました。
ずっとしばらくの間、ひたすら東へと歩いていくと…

階段の上に、ひっそりと祠が経っていました。
この神社は、出雲井(いずもい)神社と言い、岐神(くなどのかみ)が主祭神です。
岐神とは、大国主神の国譲りの際に、大国主神の命で、天照大神(アマテラスオオミカミ)の道案内をしたという神様で、交通安全や道案内にご利益がある神様です。
いよいよ昼食の時間…
ツアーバスに再び乗り込んで、昼食の会場へと向かいます。
向かった先は、本格出雲そば「そば縁」…

出雲のお蕎麦というのは、殻のついた玄そばを石臼で挽いて作るので、普通のお蕎麦と違って、黒っぽいのが特徴です。
その分、香りが濃くて、風味が強いので、とっても美味しいのです(^^)
茶わん蒸しや、天ぷらなんかもついていて、最高の味わいの出雲そばでした。
美味しい昼食を食べた後は、僕が参加するILU開運ツアーでの、最後の目的地となります。
その場所は、ここから20kmほど北東へ向かった先にある「一畑大師(ひとはたたいし)」というお寺です。
いよいよ、出雲編の最後の冒険へと向かい、旅立ちます。
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