2019.07.012019年 ヨーロッパ紀行 第33話 ~チェコ共和国一人旅・プラハ編~
2019年7月2日(火)
(In Prague Czech Republic Date 20 May 2019)
昨夜の晩は、かなり早くベットの中にも繰り込んでしまったお陰で、今朝は5時ぐらいに目を覚ましました。
今日はいよいよ、携帯電話を取りに、たった一人でブルノへ向かう日…
昨夜、草さんに、どうやって、バス・ステーションの人にあいさつをして、名乗ったらいいかとか、どの道を通って行ったら、駅につくかとか、細かい所まで、いろいろと聞きました。
いつもは、頭の中で全部記憶して、ほとんどメモを取らないのが、僕のスタイルなのですが、昨夜は念入り過ぎるほどに、しっかりとメモを取りました。
隣りのベッドを見ると、草さんは、すやすやと眠っています。
僕は昨日、草さんは、てっきり今夜、夜の観光に行くものとばかり思っていました。
せっかくプラハに来たこの時を逃したら、もうそんな観光はできませんから、タロット占いの結果にかかわらず、出掛けてしまうだろうと思っていたのですが、そこは、さすが草さんです。
タロットをちゃんと生かして、「君子、危うき近づかず」を、見事に実践していました。
今回こうして、僕が携帯を見つけられたのも、全部、草さんのお陰です。
“本当に、ありがとうございます”
眠っている草さんに、心の中でお礼を言いました。
しばらくすると、野尻泰煌先生が、僕を起こしに来てくださいました。
「浅野さん、起きたかい。少し時間は早いけど、お風呂の湯をためておいたんだ。出掛ける前にお湯につかっていったらいいよ」
バスルームに行くと、バスタブの中に、たっぷりとお湯が貼ってありました。
僕の為ににわざわざ、早起きしてお湯を溜めてくださったのかと思うと、涙が出るほどに嬉しくなりました。
野尻先生のご厚意に甘えて、お湯につかりました。
今朝は、相模泰生先生からもらった風邪薬のお陰で、咳はおさまっています。
ヒデ君が調べてくれた情報では、電車の発車時刻は7:50…
今の時刻は6:00になったばかり…
草さんの話では、駅までは歩いて10分ぐらいで着くという事でした。
でも、道に迷うかもしれないから、念には念をという事で、今すぐに出発する事にしました。
部屋を出ようとすると、草さんがベッドの中から、手を振っているのが分かりました。
「草さん、行ってきます」
玄関のドアまで行くと、今度は、野尻先生が見送ってくださいました。
「気をつけていっておいでよ」
「はい。必ず戻ってきます(笑)」
笑い事ではなく、一つでも何かを間違えたら、戻ってこれない可能性だってあるんですね。
見知らぬ土地の言葉が通じない世界に、携帯電話も持たずに、たった一人で遠出する… 考えると少し震えが来ます。
7年前のパリだって、こんな感じだったんだ… 大丈夫、心配ない。
強くそう自分に、言い聞かせました。
昨日、草さんがパソコンのGoogle地図を見せてくれながら、駅までの道順を説明してくれまhした。

「大丈夫ですよ。プラハの駅まで行くのは、ちょろいっす」
「門を出て、左に行くと、横に広場がありますから、その前の道をずっとひたすら真っすぐ行くだけです」
「2本目の交差点が、かなり大きくて、そこで曲がりたい衝動に駆られるかも知れないけど、そのまま真っすぐ行ってください。そうしたら、もう駅です」
とはいえ、今日はグーグル地図は持っていけません。
僕の持ってきているノートパソコンは、携帯電話のルーターを利用しないとネットにつながらないのです。
そこで、昨日、必死に地図を描きました。

考えてみれば、10日前からヨーロッパに来ているのに、たった一人で、みんなとうんと離れて行動した事は、一度たりともありませんでした。
いつも誰かと一緒だから、考えもなく、どこに行くのか目的地も知らないまま、みんなの後について、ただ歩いている事も多かったんです。
でも、こうして、たった一人になってみると、玄関から外に出て、アパルトマンの階段を下に降りて門を出るだけでも、ものすごく勇気がいる事が分かりました。
門を出て、草さんの言った通り、左に行くと、右側に広場が見えました。

ここに広場が存在していて、本当に助かりました。
この目印がなかったら、どこを曲がっていいのか、絶対に分からなかったです。
草さんの言う通り、その道をひたすら真っすぐに、進みました。

2本目の交差点がかなり大きくて、曲がりたい衝動に駆られますが、そこも真っすぐ突っ切ります。
それにしても、草さんの道順の説明は、すごくわかりやすくて、助かりました。

まもなく、左側に駅が見えてきました!!
草さんの言った通り、本当にすぐに駅に着いてしまいました。
時間が1時間半ぐらい余っていますが、まだこれから、切符を買うという困難なミッションと、間違いなくブルノ行の電車に乗る、という厄介なミッションがありますから、丁度いいです。
先ずは、駅の中に入って、切符売り場の人に聞いてみました。
下手な英語を使って、間違って伝わろうものなら、大変になりますから、確実に意味がつながるように、シンプルに駅員さんに問いかけました。
「I want to go Brno.(私はブルノに行きたい)」
まるで赤ちゃん言葉ですが、恥や外聞を気にしていられません。
すると駅員さんは、「No」というのです。
なんて話しているのかが、よく分かりませんが、「ここからは乗れないよ」というニュアンスが伝わってきます。
そして、出口の方を指さして、「レフト、ダルビッ、ダルビッ」と言います。
「ダルビッ」は、おろらく「真っすぐ」という意味だろう… と、感覚でわかりました。
せっかく駅に着いたのに、何で出口から出なくてはいけないのだろうと思ったのですが、とりあえず、その方向に行ってみました。

外に出てみましたが、何にもありません。
困りました…
あそこにある「POSTA」というのは、交番の事だろうか…
でも、おまわりさんに聞いても、やっぱり言葉が通じないのだから、意味がないし、不審者扱いされて、つかまってしまったら大変です。
いいえ、POSTAは交番ではなく、郵便局の事です(笑)
思わず音を上げて、いっそアパルトマンに帰ろうかとも思いましたが、それはさすがに、自分のプライドが許しませんでした。
仕方ないので、さっきの駅に戻って、別の人に「I want to go Brno.」と言いました。
今度の駅員さんも、やっぱり出口を指さして、「レフト、ダルビッ、ダルビッ」と言います。
そして最後に「セブンハンドレッドミーター」とつけ加えました。
せっかく駅に着いたのに、ますます意味が分かりません。
どうやら、「出口を出て、700mぐらい左に行け」という事らしいのですが、もしかしたら、ブルノ行きの路面電車かなにかがある… という事かも知れません。
言葉が分からないので、確かめようもありませんが…
さすがに、また駅に戻って、別の人に聞くのは気が引けたので、その駅員さんの言った通りに行ってみる事にしました。
幸い、電車の発車時間までには、まだ1時間ぐらいあります。

すると、そこには路面電車が走っていました。
「この路面電車に乗れば、ブルノに行けるのかなあ…」
…いいえ、絶対にブルノには行きません(笑)
さすがに、そのまま乗るのは不安なので、電車を待っている男の人に、「I want to go Brno.」 と言って、聞きました。
すると、その男の人は、近くの樹木がいっぱい茂っている公園のような場所を指して、そっちに行くようにジェスチャーをしました。
よくわからないけれど、そこに行ったら、誰かがブルノ行きの電車に案内してくれるのかも知れない…

そのまま、緑の中の舗装した道を進んでいくと、建物があって、そこに「Praha hlavní nádraží(プラハ本駅)」の看板がありました。
後から分かった事ですが、最初に入った駅は、「プラハ本駅」ではなくて、「Praha Masarykovo nadr(プラハマサリク駅 )」だったのです!!
時間に余裕をもって出発しておいて、本当に良かったです。

なんとか無事に、プラハ本駅に到着…
でも、まだまだ安心できません。
果たして、ちゃんと切符が買えるかどうか…
発車時間まで、あと45分ぐらい…
駅の案内所らしき所や、切符が打っていそうな所を見つけ「I want to go Brno.」を連発しました。
その度に、行くべき場所の方向を指さしてもらえるので、ようやく、本当のブルノ行きの切符売り場にたどり着きました。
ちゃんと切符が買えるのかすごく心配だったのですが、結局「I want to go Brno.」という言葉だけで、何とかなりました。
購入した切符には、ヒデ君が調べてくれた通り「7:50」と書いてあるので、間違いなさそうです。
乗り場が分からないので「Where?」と聞くと、「電光掲示板を見てほしい」みたいな事を言われました。
7:50発、EC275便、切符と電光掲示板をしっかりと見比べて、ホームを確認しました。
念の為、少し早めの時間にホームまで行ってみました。
1時間50分の余裕があったはずなのに、発車時刻まであと30分ぐらいになっていました。
プラハ駅のコンビニで、サンドイッチとレモンジュースを買いました。
呼吸を落ち着けて、ホームで深呼吸していると、やがてその列車はやってきました。

これで、とりあえずブルノには行けそうです(^^)
あとは、ちゃんとブルノのバス・ステーションに着いて、携帯を受け取って、さらにそこからプラハに無事に戻ってこれるか…
前途はまだまだ多難ですが、前に進むしかありません。
僕は、強くこぶしを握りしめました。
<旅の教訓33>
時間に余裕を持って行動すると、思わぬ所で救われる。
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