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2019年 ヨーロッパ紀行 第34話 ~チェコ共和国一人旅・ブルノ編~19.07.06

2019年7月6日(土)

 

 (In Brno Czech Republic Date  20 May 2019)

 

 プラハ本駅(Praha hlavní nádraží)から、予定通りに、7:50発のEC275の列車に乗って、まずは胸をなでおろしました。

 この電車の中で、2時間半の時間を過ごせば、その時は、無事にブルノの地に到着しているはず…

 

 それにしても、人間の思い込みというものは、本当に恐ろしいものだと痛感しました。

 

 僕は、プラハマサリク駅(Praha Masarykovo nadr)を、すっかり、目的のプラハ駅だと、勘違いしていました。

 正直な所、あのプラハの道沿いの歩いて10分ぐらいの距離の間に、別の駅があろう可能性なんて、思いつきもしませんでした。

 

 ずいぶん後から知ったのですが、このプラハ・マサリク駅というのは「世界の車窓から」でも、取り上げられるほどの駅で、このプラハの地にできた、最初の鉄道の駅らしいです。

 

 EC275の電車の座席にゆったり腰掛けながら、さっきの失敗を反省していました。

 

 ヨーロッパの電車は、基本4人掛けで一つのブースのようになっていて、2人ずつが向き合って座ります。

 そして、初対面の人同士が向き合った椅子に座ると、あいさつをしたり、世間話が始まったりして、和気あいあいとなります。

 

 これは僕も、パリに行った時に経験済みで、その時は僕もたくさんの外国の方から、フランス語で話しかけられました。

 (2012/3/5パリブログ 「雨のパリと凱旋門」 参照)

   …何一つとして、まともに答えられなかったけど…

 

 僕の横に座っている男性と、僕の目の前に座っているカップルは、初めて会った間柄なのに、缶ビールで乾杯をしていました。

 

 僕には、心に余裕がなかったせいか、ちょっとその輪の中には入っていけなかったのですが、こういうのもいいものだなあ… と思いました。

 

 僕はうつむきながら、さっきコンビニで買ったサンドイッチを食べました。

 そんなに日本人に合うような味ではありませんでしたが、腹ごしらえには十分でした。

 

 そして昨日、草さんからアドバイスされた事を、頭の中でイメージしていました。

 

「行く場所は、ブルノの『グランドホテル・バスステーション(Bus station at the Grand Hotel)』という所です」

「住所からして、ブルノで携帯を失くした辺りにあった、あの大きなグランドホテルの中ではないかと思います」

 

「担当者は、アデラさんという人ですから、この人につないでもらうのが良いでしょう」

 

「受付の人に何て言ったらいいか、なるべく簡単な英文を書いておきますね」

 

 そう言って、草さんは、紙にスラスラと英文を書いてくれました。

 

 

“Actually I lost my mobile phone, and I recieved your email.”

(実は、携帯電話を失くしてしまい、こちらからメールを受信しました)

 

“I heard my phone is in bus station Grand”

(私の携帯電話が、このバスステーションにあると書いてあったのですが…)

 

 草さんは、英語の発音のフリガナも振ってくれたので、僕は心の中で、何度もこの2つの文章を復唱しました。

 

 僕の為に、ここまで親身になって、本当にいろいろとしてくださった草さん…

 僕もこれに応えるべく、まずは、ちゃんと携帯を取り戻したら、草さんに恩返しをしなくては…

 

 そんな事を思いながら、僕は、自分がどの駅で下りるのか確認しておこうと、電車の中の電光案内板を見ました。

 

 下りる場所は、もちろんBrno(ブルノ)…

 

 ところが何と「Brno(ブルノ)」という単語が入っている停車駅が、2つもあるんです。

 

 一つは“Brno-Židenice”という駅で、もう一つは“Brno dolní nádraží”という駅です。

 

 この2つの停車駅は、並んでいるので、どちらもブルノ市内にある駅だと思って間違いありませんが、はたして、どっちの駅に下りて良いのか、見当がつきません。

 

 携帯電話さえあれば、草さんに電話して聞く事もできますし、ネットがつながれば地図を調べる事もできるのでしょうが、この状況に置いてそれは無理ですし、言葉が通じないので、誰かに聞く訳にもいきません。

 

 となると、僕に残された唯一の方法は、2分の1の運に任せて、どちらか一つを選ぶしかない…

 

 僕は躊躇なく、後者の“Brno dolní nádraží” の方を、選びました。

 理由は、プラハ本駅(Praha hlavní nádraží)と同じように、“nádraží”という言葉がついていたからです。

 

 “nádraží” という言葉が、どういう意味かは分からないけれど、きっと、こっちがメインの駅に違いないだろうと、僕は考えました。

 

 後で調べてみたら、“nádraží” という単語には、ただ「駅」という意味しかなかったのですが、結果的に、この選択は正解でした。

 

 あの時、もしも、“Brno-Židenice(ブルノズィデニツェ)” を選んでいたら、目的地からとんでもなく離れた場所に下ろされていて、そこからは歩く事はもちろん、無事に元の場所まで戻ってくる事さえも、不可能だったと思います。

 

 後から、いろいろ調べてみると、「ブルノ本駅(Brno hlavní nádraží)」というのも、ちゃんと存在はするようなのですが、今は駅が改修中で、電車はそこに停車しないようになっていました。

 

 “Brno dolní nádraží” に下りてみると、雨が降っていました。

 やがてそれは、ザーザーぶりの土砂降りになってきました。

 

 

 こうして地図で見てみると、“Brno dolní nádraží” のブルノ下駅から、そのバスステーションまでは、かなり距離があった事が分かります。

 

 もちろん、この時は地図なんて持ち合わせていませんから、歩きながら、その辺にいる誰かをつかまえて、道を聞いて、進んでいくしかありませんでした。

“Where is the Grand Hotel?” (グランドホテルは、どこですか?)を繰り返して、何人もの道行く人のお世話になりました。

 

 もちろん、中には「そんな場所は、知らない」という人もいましたし、「ずいぶん、ここから遠いよ」みたいに教えてくれた人がいましたが、指で示してくれている方向へ向かって、ただ、ひたすら歩きました。

 

「レフト」は左、「ライト」は右、そして真っすぐは「ダルビッ」…

 そのあたりの言葉も、だんだんわかってきました(笑)

 

 途中、間違った道に歩いていってしまった事もありましたが、1時間ぐらい歩き続けて、無事にグランドホテルに到着…

 

 

 さっきまで降っていた雨は、いつの間にか、晴れ渡っていました。

 

 ホテルの中に入って、ラウンジの人に、バスステーションの場所を聞くと、またしても、出口の自動ドアの外を指さされ、真っすぐに行くように言われました。

 

 プラハの駅でも、このパターンはあったので、「またか」と思いながら、今度は素直にそれに従って、出口を出て真っすぐに歩いていくと…

 

 

 ついに、目的地の「REGIOJETのバス・ステーション」に到着…(涙)

 

 さあ、勇気を出して、受付の人に聞いてみます。

 

「アクチュアリー アイ ロスト マイ モバイル…(Actually I lost my mobile…)」と言うと…

 明らかに、「何?」みたいなニュアンスで、チェコ語で聞き返されました。

 

 僕の英語は、全然通じていないようです。

 

「ホエア イズ アデラ?(Where is Adela? = アデラさんは、どこですか?)」と聞いてみても、通じません。

 

 僕は、顔が真っ青になりました。

 僕の英語の発音が、余程にまずいのか… それとも、この受付の女性は、英語を理解できないのか…

 

 もうこうなったら、最後の手段しかないと思い、草さんに書いてもらった紙のメモを、そのまま受付の人に渡して、さらに「マイネーム イズ フトシ アサノ(My name ie  Futoshi Asano.)」を、繰り返しました。

 

 受付の人は、どこかに電話をして、草さんの書いてくれたメモの単語や、一文字一文字のスペルを伝えていました。

 

 およそ、10分ぐらい…

 受付の人は、机の引き出しをゴソゴソと探し、何かを取り出しました。

 

 それは、紛れもなく、僕の緑色の携帯電話!!

 

 

 しかしながら、何か良く分かっていないような感じで、「本当に、外にいる怪しげな外国人に、この携帯を渡していいの?」みたいな顔で、こちらをチラチラ見ながら、ずっと電話で話しています。

 

 僕は、パスポートを広げて見せて、「イッツ マイン(It’s mine.)」を繰り返しました。

 

 その5分後、パスポートをコピーする事と引き換えに、ずっと探し求めていた携帯電話を、再び手にする事ができました。

 

「サンキュー ベリーマッチ!!(Thank you very much)」

 

 携帯の電池の残量は、本当に残りわずか…

 まずは、高天麗舟先生に、携帯を無事に取り戻した事を一報しました。

 

 高天麗舟先生からは、おめでとうの言葉とともに、「みんなでプラハ駅まで迎えに行くので、プラハ駅の喫茶店で待ち合わせしましょう!!」と、メッセージが入っていました。

 

 携帯の電源は、いつ切れてもおかしくないくらい、バッテリーが消耗していたので、「省エネモード」にして、一番確実にプラハに戻る方法を、考えました。

 

 鉄道を使うには、1時間近くかけて、“Brno dolní nádraží(ブルノ下駅)”まで、さっきの道を戻らなくてはいけませんが、また、今度も無事に、あそこまでたどり着ける保証はありません。

 

 ふと、後ろのREGIOJETの看板を見ると、「JÍZDNÍ ŘÁD Brno – Praha」と書いてあります。

 

 このバスで、プラハまで戻れるかも知れない…

 

 僕は、さっきの受付の女性に「I want to go to Praha.(私は、プラハに行きたい)」と言いました。

 

 受付の女性は、「ウ ハンドレッド コルナ」と答えました。

 

 よく分からないけれど、多分、「100(hundred)」と「コルナ(Koruna)」と言っているから、100コルナという事だろう… と、おそるおそる100コルナ札を差し出すと…

 

 「ツゥー ハンドレッド コルナ(Two hundred Koruna)」と、思い切り強く言われました。

 

 あわてて、もう1枚100コルナ札を差し出すと、今度は…

 

 「ワノクロック!!」と、強く言われました。

 

 どうして良いかわからずに、もう1枚100コルナ札を差し出したら、「ノー!(No!)」と、叱られてしまいました…

 

 困ったなあ… と思っていたら、受付の人はバスの切符に、マーカーで線を引っ張ってくれて、渡してくれました。

 

 

 見ると、13:00の所に、緑のマーカーで線が引っ張ってありました。

 

 そうか、ワノクロックは「one o’clock」の事だったんだ。

 

 13:00まで、30分ぐらい…

 歩き疲れて、甘いものが無性にほしくなったので、コンビニでコカコーラを買って飲みました。

 

 

 しばらくすると、そのバスはやってきました。

 

 長かったな… でも、これでやっとみんなの元に帰れる…

 

 バスに乗ると、バスガイドさんから、運転手さんのすぐ後ろの広くて見晴らしの良い席に案内されました。

 

「サンキュー ソー マッチ!!(Thank you so much)

 

 全ての事が、結果的には上手くいったけれど、どこを一つ間違っていても、戻ってこれなかったな…

 広々とした席で、ゆったりと目を閉じて、ただただ、天に感謝しました。

 

 <旅の教訓34>

 一見困難に思える事も、あきらめなければ、うまくいく。ただし、油断はしない事… そして、うまくいった時には、絶対に感謝を忘れない事。

 

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2019年 ヨーロッパ紀行 第33話 ~チェコ共和国一人旅・プラハ編~19.07.01

2019年7月2日(火)

 

 (In Prague Czech Republic Date  20 May 2019)

 

 昨夜の晩は、かなり早くベットの中にも繰り込んでしまったお陰で、今朝は5時ぐらいに目を覚ましました。

 

 今日はいよいよ、携帯電話を取りに、たった一人でブルノへ向かう日…

 

 昨夜、草さんに、どうやって、バス・ステーションの人にあいさつをして、名乗ったらいいかとか、どの道を通って行ったら、駅につくかとか、細かい所まで、いろいろと聞きました。

 

 いつもは、頭の中で全部記憶して、ほとんどメモを取らないのが、僕のスタイルなのですが、昨夜は念入り過ぎるほどに、しっかりとメモを取りました。

 

 隣りのベッドを見ると、草さんは、すやすやと眠っています。

 僕は昨日、草さんは、てっきり今夜、夜の観光に行くものとばかり思っていました。

 

 せっかくプラハに来たこの時を逃したら、もうそんな観光はできませんから、タロット占いの結果にかかわらず、出掛けてしまうだろうと思っていたのですが、そこは、さすが草さんです。

 タロットをちゃんと生かして、「君子、危うき近づかず」を、見事に実践していました。

 

 今回こうして、僕が携帯を見つけられたのも、全部、草さんのお陰です。

 

 “本当に、ありがとうございます”

 眠っている草さんに、心の中でお礼を言いました。

 

 しばらくすると、野尻泰煌先生が、僕を起こしに来てくださいました。

「浅野さん、起きたかい。少し時間は早いけど、お風呂の湯をためておいたんだ。出掛ける前にお湯につかっていったらいいよ」

 

 バスルームに行くと、バスタブの中に、たっぷりとお湯が貼ってありました。

 僕の為ににわざわざ、早起きしてお湯を溜めてくださったのかと思うと、涙が出るほどに嬉しくなりました。

 

 野尻先生のご厚意に甘えて、お湯につかりました。

 

 今朝は、相模泰生先生からもらった風邪薬のお陰で、咳はおさまっています。

 

 ヒデ君が調べてくれた情報では、電車の発車時刻は7:50…

 今の時刻は6:00になったばかり…

 

 草さんの話では、駅までは歩いて10分ぐらいで着くという事でした。

 

 でも、道に迷うかもしれないから、念には念をという事で、今すぐに出発する事にしました。

 

 部屋を出ようとすると、草さんがベッドの中から、手を振っているのが分かりました。

「草さん、行ってきます」

 

 玄関のドアまで行くと、今度は、野尻先生が見送ってくださいました。

「気をつけていっておいでよ」

「はい。必ず戻ってきます(笑)」

 

 笑い事ではなく、一つでも何かを間違えたら、戻ってこれない可能性だってあるんですね。

 見知らぬ土地の言葉が通じない世界に、携帯電話も持たずに、たった一人で遠出する… 考えると少し震えが来ます。

 

 7年前のパリだって、こんな感じだったんだ… 大丈夫、心配ない。

 強くそう自分に、言い聞かせました。

 

 昨日、草さんがパソコンのGoogle地図を見せてくれながら、駅までの道順を説明してくれまhした。

 

 

「大丈夫ですよ。プラハの駅まで行くのは、ちょろいっす」

 

「門を出て、左に行くと、横に広場がありますから、その前の道をずっとひたすら真っすぐ行くだけです」

「2本目の交差点が、かなり大きくて、そこで曲がりたい衝動に駆られるかも知れないけど、そのまま真っすぐ行ってください。そうしたら、もう駅です」

 

 とはいえ、今日はグーグル地図は持っていけません。

 僕の持ってきているノートパソコンは、携帯電話のルーターを利用しないとネットにつながらないのです。

 

 そこで、昨日、必死に地図を描きました。

 

 

 考えてみれば、10日前からヨーロッパに来ているのに、たった一人で、みんなとうんと離れて行動した事は、一度たりともありませんでした。

 いつも誰かと一緒だから、考えもなく、どこに行くのか目的地も知らないまま、みんなの後について、ただ歩いている事も多かったんです。

 

 でも、こうして、たった一人になってみると、玄関から外に出て、アパルトマンの階段を下に降りて門を出るだけでも、ものすごく勇気がいる事が分かりました。

 

 門を出て、草さんの言った通り、左に行くと、右側に広場が見えました。

 

 

 ここに広場が存在していて、本当に助かりました。

 この目印がなかったら、どこを曲がっていいのか、絶対に分からなかったです。

 

 草さんの言う通り、その道をひたすら真っすぐに、進みました。

 

 

 2本目の交差点がかなり大きくて、曲がりたい衝動に駆られますが、そこも真っすぐ突っ切ります。

 

 それにしても、草さんの道順の説明は、すごくわかりやすくて、助かりました。

 

 

 まもなく、左側に駅が見えてきました!!

 草さんの言った通り、本当にすぐに駅に着いてしまいました。

 

 時間が1時間半ぐらい余っていますが、まだこれから、切符を買うという困難なミッションと、間違いなくブルノ行の電車に乗る、という厄介なミッションがありますから、丁度いいです。

 

 先ずは、駅の中に入って、切符売り場の人に聞いてみました。

 下手な英語を使って、間違って伝わろうものなら、大変になりますから、確実に意味がつながるように、シンプルに駅員さんに問いかけました。

 

「I want to go Brno.(私はブルノに行きたい)」 

 まるで赤ちゃん言葉ですが、恥や外聞を気にしていられません。

 

 すると駅員さんは、「No」というのです。

 なんて話しているのかが、よく分かりませんが、「ここからは乗れないよ」というニュアンスが伝わってきます。

 

 そして、出口の方を指さして、「レフト、ダルビッ、ダルビッ」と言います。

 

 「ダルビッ」は、おろらく「真っすぐ」という意味だろう… と、感覚でわかりました。

 せっかく駅に着いたのに、何で出口から出なくてはいけないのだろうと思ったのですが、とりあえず、その方向に行ってみました。

 

 

 外に出てみましたが、何にもありません。

 困りました…

 

 あそこにある「POSTA」というのは、交番の事だろうか…

 でも、おまわりさんに聞いても、やっぱり言葉が通じないのだから、意味がないし、不審者扱いされて、つかまってしまったら大変です。

   いいえ、POSTAは交番ではなく、郵便局の事です(笑)

 

 思わず音を上げて、いっそアパルトマンに帰ろうかとも思いましたが、それはさすがに、自分のプライドが許しませんでした。

 

 仕方ないので、さっきの駅に戻って、別の人に「I want to go Brno.」と言いました。

 

 今度の駅員さんも、やっぱり出口を指さして、「レフト、ダルビッ、ダルビッ」と言います。

 そして最後に「セブンハンドレッドミーター」とつけ加えました。

 

 せっかく駅に着いたのに、ますます意味が分かりません。

 

 どうやら、「出口を出て、700mぐらい左に行け」という事らしいのですが、もしかしたら、ブルノ行きの路面電車かなにかがある… という事かも知れません。

 言葉が分からないので、確かめようもありませんが…

 

 さすがに、また駅に戻って、別の人に聞くのは気が引けたので、その駅員さんの言った通りに行ってみる事にしました。

 

 幸い、電車の発車時間までには、まだ1時間ぐらいあります。

 

 

 すると、そこには路面電車が走っていました。

 

「この路面電車に乗れば、ブルノに行けるのかなあ…」

   …いいえ、絶対にブルノには行きません(笑)

 

 さすがに、そのまま乗るのは不安なので、電車を待っている男の人に、「I want to go Brno.」 と言って、聞きました。

 

 すると、その男の人は、近くの樹木がいっぱい茂っている公園のような場所を指して、そっちに行くようにジェスチャーをしました。

 

 よくわからないけれど、そこに行ったら、誰かがブルノ行きの電車に案内してくれるのかも知れない…

 

 

 そのまま、緑の中の舗装した道を進んでいくと、建物があって、そこに「Praha hlavní nádraží(プラハ本駅)」の看板がありました。

 

 後から分かった事ですが、最初に入った駅は、「プラハ本駅」ではなくて、「Praha Masarykovo nadr(プラハマサリク駅 )」だったのです!!

 

 時間に余裕をもって出発しておいて、本当に良かったです。

 

 

 なんとか無事に、プラハ本駅に到着…

 

 でも、まだまだ安心できません。

 果たして、ちゃんと切符が買えるかどうか…

 

 発車時間まで、あと45分ぐらい…

 

 駅の案内所らしき所や、切符が打っていそうな所を見つけ「I want to go Brno.」を連発しました。

 その度に、行くべき場所の方向を指さしてもらえるので、ようやく、本当のブルノ行きの切符売り場にたどり着きました。

 

 ちゃんと切符が買えるのかすごく心配だったのですが、結局「I want to go Brno.」という言葉だけで、何とかなりました。

 

 購入した切符には、ヒデ君が調べてくれた通り「7:50」と書いてあるので、間違いなさそうです。

 

 乗り場が分からないので「Where?」と聞くと、「電光掲示板を見てほしい」みたいな事を言われました。

 

 7:50発、EC275便、切符と電光掲示板をしっかりと見比べて、ホームを確認しました。

 念の為、少し早めの時間にホームまで行ってみました。

 

 1時間50分の余裕があったはずなのに、発車時刻まであと30分ぐらいになっていました。

 

 プラハ駅のコンビニで、サンドイッチとレモンジュースを買いました。

 

 呼吸を落ち着けて、ホームで深呼吸していると、やがてその列車はやってきました。

 

 

 これで、とりあえずブルノには行けそうです(^^)

 

 あとは、ちゃんとブルノのバス・ステーションに着いて、携帯を受け取って、さらにそこからプラハに無事に戻ってこれるか…

 

 前途はまだまだ多難ですが、前に進むしかありません。

 僕は、強くこぶしを握りしめました。

 

 <旅の教訓33>

 時間に余裕を持って行動すると、思わぬ所で救われる。

 

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2019年 ヨーロッパ紀行 第32話 ~クラシックな夜~19.07.01

2019年7月1日(月)

 

 (In Prague Czech Republic Date  19 May 2019)

 

 草さんと一緒に「弦楽四重奏」の演奏があるミラーチャペル・クレメンティヌム(Mirror Chapel Klementinum)に到着すると、ヒデ君が玄関の所で待っていてくれました。

 

 

「もーう、遅いですよ…」

 

 どうやら、僕の腕時計が、15分ぐらい遅れてしまっているようでした。

 いつも、携帯で時間を確かめていたから、まさかそんなに、時計が遅れているとは、夢にも思いませんでした。

 

 草さんとヒデ君に、申し訳ない事をしてしまいました。

 

 でも、幸いに演奏の時間には、ギリギリ間に合ったようです。

 

 

 泰永会のメンバーは、みんな、もうすでに会場の席についているようでした。

 

 コンサートの題目は、「古きプラハの スメタナ、ドボルザーク、そしてビバルディー」(Smetana,Dvorak and Vinaldi in Old Prague)

 

 ストリング・カルテット(弦楽四重奏)ですから、基本的には4名の演奏なのですが、音の厚みがすごくて、巨大オーケストラの演奏と変わらないくらいのボリュームでした。

 

 初めて、オーケストラの生演奏を聴きました。

 

 会場に入って、厳粛な場で緊張したせいか、急に喉が痛くなって、咳込みそうになったのですが、僕はじっとこらえていました。

 

 それにしても、モルダウの曲が演奏の中に含まれているとは、夢にも思いませんでした。

 

 モルダウ川を見下ろして、脳裏に焼き付いた状態で、生演奏のモルダウを聞く…

 なんて、贅沢な時間なんだ… と、心が躍りました。

 

 クラシック演奏の珠玉の時間が終わって、ミラーチャペルの外に出てくると、夜のプラハ…

 

 

 そこは、幻想の世界でした。

 

 野尻泰煌先生高天麗舟先生、草さんは、本当に心の底から、演奏の感動を味わっているのを感じました。

 

 僕は、そこまでの深い何かを感じ取った訳ではありませんが、とにかく気持ちは充実していました。

 やや、体調が悪くて、咳をこらえていたので、パーフェクトな状態ではなかったものの、本当に良い体験をしました。

 

 その後、トラム(路面電車)を使ったのか、徒歩だったか、どうやってアパルトマンに帰ったのかが、ちょっと思い出せないのですけど、夜道を歩いている間、ずっと心の中でモルダウの曲が流れていたのを覚えています。

 

 アパルトマンに戻って、草さんがパソコンを見ると、携帯の失くし物の問い合わせをしたレギオジェット(Regiojet)から、返信が来ていました。

 

 なんと、僕の携帯電話がバスの中で見つかって、今、ブルノのグランドホテル・バスステーションで預かっているとの事…

 

 あまりの嬉しさに、ガッツポーズを取ってしまいました。

 

 草さんをはじめ、助けてくれたみんなに本当に感謝です。

 

 でも、携帯電話がある場所はブルノ…

 ここはプラハです。

 

 我々は、明日の朝に帰国しなければなりませんから、携帯をプラハに届けてもらっていては、間に合いません。

 

 残された選択肢は2つ…

 その携帯を日本に海外小包で届けてもらうか、それとも明日、片道2時間半 往復で5時間掛けて、僕一人で、ブルノに携帯を取りに行くかです。

 

 僕は、迷う事なく、後者を選びました。

 

 日本に戻ってから、携帯が送られてくるのを待つというのでは、一体いつになるかもわかりませんし、本当にちゃんと送られてくる保障もありません。

 何せ海外の事ですから、住所を間違って送られたら、それで終わりです。

 

 もちろん、たった一人でブルノに行くというのが、かなり危険極まりない事も、承知の上です。

 なにせ、僕は携帯を持っていないのですから、万が一、道に迷ったりしたら、言葉も通じないこのチェコで、二度と戻ってこれなくなる可能性だってあります。

 

 とはいえ、これ以上みんなに迷惑を掛けられません。

 例えば、「草さんにブルノまで、つき合ってもらう」とか、一瞬、そんな考えを頭の中をよぎったのですが、そんな事をすれば、草さんの貴重なチェコ滞在の一日が消えてしまいます。

 

 野尻先生が誘ってくださった、モルダウ川の向こう側のお城にみんなで行くのも、本当に魅惑的ですが、それに参加するのはあきらめて、僕は単身ブルノに行く事に決めました。

 

「きっと、それも意味があるんだろうね。気をつけて行っておいでよ」

 僕が明日、単身ブルノに行く事を告げると、野尻先生はそういってくださいました。

 

 草さんは、現地に行ったら、どういう風に自己紹介したらいいかとか、事細かくメモに書いてくださいました。

 

 海外旅行に百戦錬磨の草さんからしてみたら、たかだかプラハからブルノに行って携帯電話を取りに行く程度の事は、大した事ではありません。

 

 それよりも、草さんは今夜、このプラハの夜の街を、一人で観光に行くかどうか迷っているようでした。

 

 草さんが、一人で「スリーカード・スプレット」をやって、じっと悩んでいました。

 

「これって、どう考えても “行くな”っていうメッセージですよね」

 草さんが、出たカードを僕に見せてくれました。

 

 

 「世界」「悪魔」「月」…

 めちゃくちゃ、分かりやすいカードの出方です。

 

 今、クラシック演奏に心が最高に充実している状態が、きっと「世界」のカードですよね。それで、もしも行くと「悪魔」のカードになって、その後は「月」のような心の状態という事ですね。

 

 もう、これだけの解説で、草さんには十分なようでした。

 

 でも、実業家で現実的な草さんの事だから、どうせ止めても行くんだろうな… と、この時は思っていました。

 

 ヒデ君がインターネットを駆使して、ブルノまで行くには、どの電車に乗ったらよいかとか、全部調べてくれて、そのメモを僕にくれました。

 ヒデ君には、本当にお世話になりっぱなしです。

 

 キッチンに行って、咳き込んでいたら、相模泰生先生が、風邪薬を持ってきてくれて、手渡してくれました。

 

 こうやって、いつもみんなに助けてもらって、僕は生きているんだなあ…

 

 感謝の気持ちが、心の底からこみ上げてきました。

 

 ヒデ君の調べてくれた電車では、7:50にプラハ発の電車に乗れば、10:30にブルノに着くとの事…

 

 という事は、かなり早起きしなければなりません。

 

 泰生先生からもらった風邪薬を飲んで、その日はさっさと床に入りました。

 

 <旅の教訓32>

 いつだって周りの人のお世話になって、人は生きている。

 

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2019年 ヨーロッパ紀行 第31話 ~モルダウ川の彼方~19.06.30

2019年6月30日(日)

 

 (In Prague Czech Republic Date  19 May 2019)

 

 19:00からのミラーチャペルで行う「弦楽四重奏」の演奏開始の時間まで、約3時間…

 

 草さんと一緒に、チェコのタロット探しの冒険の始まりです。

 

 

 プラハの街の景色の中に溶けていくように、草さんと二人で、裏道の路地に入っていきます。

 

 タロットカードを販売しているようなマニアックなお店は、少なくとも人目につくような大通りにはない… という、ハンガリーでタロットカードを見つけた時の草さんの経験からです。

 

 本当の事を言うと、僕は体調が完全な状態ではありませんでした。

 どうも、前日のブルノにいたあたりから、本調子ではないのです。

 

 イスクラ衛益顆粒を飲んでいて、体の免疫はついているはずなのに、それ以上に無茶をし過ぎているんですね。

 大体、今日の朝だって、缶ビール飲んでいるし(笑)

 

 昨日はそうでもなかったのですが、ここにきて、鼻水や咳が出だして、それをこらえながら、涙目になっていました。

 

 

 それでも、今はどんな気分かといったら、ものすごく楽しいです!!

 

 夢を見ているような楽しい出来事が、体調の悪さを超えてしまっているんです。

 

 本当、この場所に来て良かった…

 

 タロットが販売されていそうなお店といえば、やっぱり、書店です。

 日本では、タロットカードは、東急ハンズなんかのレジャー用品売り場や、書店の占い関連のスペースに置かれていますが、チェコでも、きっと同じはず…

 

 決して、誰もいないうらびれた暗くて寂しい場所に、水晶玉を手にした怪しげな老婆が住む一軒家があって、そこで黒魔術の道具や手引書と一緒に、タロットカードも販売されている… という訳ではないと思います(笑)

 

 いや… でも、もしかすると、そんな作り話のような事だってあるのかも知れない…

 

 それくらいに、この街は、おとぎ話の世界のようなファンタスティックな雰囲気に包まれていました。

 

 ブラハの街を、気の向くまま、2人で歩き回りました。

 

 草さんは、素敵な景色を見つけると、その風景の構図にものすごくこだわりながら、写真を撮って、インスタにアップします。

 どうりで、草さんのインスタは、僕の頂き物ばかりアップしているインスタと違って、写真がめちゃくちゃ芸術的な訳です。

 

 道を進んで行って、分かれ道になっていて、どちらに行って良いか迷った時には、交代交代で、どっちの道に進むか決める事にしました。

 

 全ては天に任せて…

 

 1時間余り、街をあちこちフラフラしたものの、未だにタロットの片鱗は見つけられないまま…

 それどころか、書店さえも見つけられず、ようやく書店を見つけたと思ったら、休業日だったり、営業時間がちょうど終わった所だったりと、思うようにすんなりとは、いきませんでしました。

 

「川を渡った向こう岸に、行ってみましょうか」

 草さんが、そう言いました。

 

 僕らは、カレル橋を渡って、モルダウ川の向こう岸に行く事になりました。

 

 

 この橋塔を入った所が、プラハの名所・カレル橋…

 そして、その下を流れているのが、かのモルダウ川です。

 

 この橋塔、一見すると、色や形がプラハの街に入った最初に見た「火炎塔」に似ていて、間違えそうになりますが、別の塔です。

 さすが「百塔の街」のプラハ…

 

 そう言えば、携帯が見つかるかどうかを、草さんのタロットカードを借りて引いた時、「塔」のカードが出てたっけ…

 ふと、そんな事を思い出しました。

 

 

 橋塔のトンネルを入ると、思わず声を上げたくなるような、素敵な場所でした。

 広い橋の両側には、露天商やたくさんのアーティストやミュージシャンが立ち並んでいます。

 

 橋を渡っていると、松里さんとヒデ君とKさんが歩いていて、挨拶しました。

 

 

 そして、橋の向こう側に目をやると、そこはマラー・ストラナ地区…

 たくさんのお城のような建物が立ち並んでいて、まるで、おとぎ話に出てくる王様の宮殿です。

 

 「今夜はクラシックを聴いて、明日は、みんなで川の向こう岸にあるお城に行ってみようよ」

 クラシックコンサートのチケットを買った時、野尻泰煌先生がそうおっしゃったのを、思い出しました。

 

 明日は、この夢の景色の中に入っていくんだ…

 

 草さんは、橋の所で、販売している美しいシルバーやクリスタルのパワーストーンに魅入られて、その露天商の人に、何か交渉をしているようでした。

 

 やっぱり、英語ができるというのはいいなあ…

 そんな思いに駆られながら、橋から下を眺めてみました。

 

 滔々と流れるモルダウ川…

 

 

  “ボヘミアの川よモルダウよ 過ぎし日のごと今もなお”

  “水清く青きモルダウよ わが故郷を流れ行く”

  “若人さざめくその岸辺 緑濃き丘に年ふりし”

  “古城は立ち 若き群れを守りたり”

 

 中学生の時に音楽の授業で歌った「モルダウ」…

 

 このスメタナのモルダウは「我が祖国」という交響詩の中の第2楽章です。

 

 橋から川を見ていると、ゴホゴホ咳が出てきましたが、モルダウ川のせせらぎに、全部かき消されていきました。

 

 草さんと一緒に、橋を渡った所にあった書店に入ってみましたが、そこでもタロットカードを見つける事はできませんでした。

 

 その後、川沿いにある小さなお店のあたりを、ぐるっと散策してみました。

 

「中々、タロットコードが置いてあるお店はないものですね…」

 草さんと、お互いに顔を見合わせました。

 

 まあ、適当に歩き回って見つかるほど、タロットカードはメジャーな商品ではありません。

 タロットカードというもの自体、かなりレアな商品ですし、だいたい、こういうものを欲しがる人というのも、かなり特殊です。

 

 そう考えると、草さんがハンガリーのブダペストの街を、少しぶらついただけで、タロットカードがあるお店を見つけてしまったという事が、ものすごい奇跡だったのです。

 

 1時間半ぐらい、あちこちを歩き回ったものの、結局、目的のタロットカードは見つける事はできませんでした。

 

 しかしながら、当初の目的は達成できなかったとはいえ、素敵な思い出に心が満たされています。

 

 モルダウ川を、ゆっくりと見る事もできたし…

 

 そろそろ戻らないと、クラシックの時間に間に合わなくなってしまいます。

 

 

 橋の所で演奏をしていたストリートミュージシャンの人達が、異国情緒が満載の曲を演奏していました。

 

 「まだ少し時間もあるから、どこかで夕食を食べてから、コンサートに行きましょう」

 二人でファミレス風のお店に入って、そこで、スパゲティーを注文しました。

 

 とはいえ、実際にお店の人と会話して、注文をしてくれたのは草さんで、僕一人だったら、どんな食べ物がいくらで食べられるかという事さえ分からず、スパゲティーを注文する事さえも、できなかったと思います。

 

「ドリンクは、コンビニで買って飲みましょう」

 草さんは、そう言って、こう続けました。

 

「みんな、外国に来ると、無駄な所にお金を使いたがるんですよ。クラシックコンサートに行くとか、そういう価値のある事にお金を使うのなら、多少のお金が掛かっても意味があると思うんですけど、コンビニで安く売っているようなものを、わざわざレストランで10倍以上のお金を払って注文するくらいなら、その分のお金を、もっと価値のある事に使ったらいいと思うんですよね」

 

 さすがは、草さんです。

 これが、経営者でもあり実業家でもある、草さんの真骨頂だと思いました。

 

 タロットカードは見つけられなかったけれど、草さんと一緒に行動をして、とても楽しくて有意義な時間を過ごさせて頂きました。

 

 さあ、魅惑のクラシック・コンサートの開演の時間まで、あとわずか…

 

 草さんと一緒に、会場のミラーチャペル・クレメンティヌムへと急ぎました。

 

 <旅の教訓31>

 当初の目的が達成できなくても、そのプロセスにおいて得られるものに価値がある。

 

※「2019年ヨーロッパ紀行」のアーカイブは、こちら

 

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