2019.06.062019年 ヨーロッパ紀行 第8話 ~草さんのタロット~
2019年6月6日(木)
(In Budapest Hungary Date 12 May 2019)
ハンガリー特製のフォアグラと山もりのポテトを残さず食べて、これ以上、もうお腹に入らないという状態で、アパルトマンに帰り、しばし、キッチンで憩いの時間を過ごして、みんな、それぞれの部屋に入りました。
さっき温泉に浸かったから、今夜はシャワーを浴びなくていいか…
どっぷりと、ベッドに寄りかかって、隣りを見ると、今夜はちゃんと、草さんもベッドで休んでいました。
昨晩の事を尋ねると、草さんは、一人で夜の街へと、冒険に行った話をしてくれました。
ブダベストの夜景を楽しみながら、トラム(路面電車)を利用して、とある街のバーに行ったり、その後、秘密の冒険をしたりしたそうなのですが、帰りの電車がなくなって、帰って来れなくなってしまったそうです。
草さんと、念願だったタロット・カードの話もしました。
あの鏡リュウジさんの「タロットの秘密」を読んでいるのですから、タロットに関する造詣も、かなり深いはずです。
話を聞いてみると、草さんは、映画監督でタロティストでもある、アレハンドロ・ホドロフスキーのタロット・メソッドに傾倒していて、かなりの見識を持っているようでした。
本来、草さんは、日本とカンボジアを中心に、世界を股に掛けて活躍する実業家ですが、元々は、英語と体育の先生でもあり、テニスの腕も抜群で、アメリカ合衆国プロテニス協会のコーチのライセンスも持っています。
運動神経もバリバリなのですが、文化的な事にも精通していて、書家(雅号:高堂巓古)としても、茶人としても、一流です。
また、読書普及協会の理事長でもあり、随筆家としての活動も、しています。
草さんのインスタを見ても分かるように、写真を撮るセンスも中々のものですし、本当に多芸多趣味で、根っからの芸術家です。
そして、生き方は、粋で風流そのもの…
一人、気の向くままに、どこへでも行ってしまいます。
さっき、僕らがセーチェニ温泉に入っていた時も、草さんは一人だけ別行動で、ハンガリーで作られたタロットカードを、ずっと探していたそうです。
明日もまた、引き続きタロットカードを探してみる… と、言っていました。
そして何よりも、とってもエッチなのです(笑)
大方、僕とは対照的な性格なのですが、タロットの歴史のものすごくマニアックな話で、お互いにすごく盛り上がりました。
草さんが傾倒するホドロフスキーは、「カモワン・タロット」の使い手であり、僕も5年前に、カモワン・タロットについて、少しばかり調べた事があります。
(2014/6/19パリブログ 「カモワン・タロットとパリのエテイヤ」 参照)
そして、ホドロフスキーの著作の「タロットの宇宙」の翻訳の監修をやっているのは、僕が大変お世話になっている伊泉龍一先生…
でも、この本は基本的に、カモワン・タロットの解説書なので、僕が扱っているウェイト版タロットとは、相性は良くありません。
当然ながら、パメラが描いたウェイト版の絵柄のデザインとは相容れませんし、ウェイト版小アルカナの解釈のルーツの一翼を担ったエテイヤの思想とも、相容れません。
だから、僕もホドロフスキーのメソッドの事は良く知らないのですが、それでも、草さんとのタロット談義は、尽きる事なく盛り上がりました。

僕は今まで、草さんがタロットに興味を持っているなんて事は、これっぽっちも知りませんでした。
こうして、草さんと深いご縁ができたのも、本当に不思議な導きのような気がします。
草さんがシャワーを浴びに行くと、襲ってくる眠気には勝てず、いつしか僕も、眠りについていました。
目が覚めたのは、午前3時頃、草さんも眠っていましたが、部屋の外ではガサガサと音がします。
早起きの野尻泰煌先生は、もうすでに、目を覚ましていました。
「浅野さん、面白い話があるよ」
野尻先生からお誘いを受け、早朝からキッチンで、野尻先生のまだ若かりし頃のすごく興味深いお話を聞かせて頂きました。
さすがに、午前3時ともなると、誰も起きてはいませんね(笑)
話の中でも特に、野尻先生が十代の少年時代に体験した、当時の日本文化の風習や風俗の話には、思わずのめり込みました。
中でも、野尻先生が友達に連れられて行ったという、舞台演劇のストーリーの一つに、ものすごく衝撃的なものがあって、眠気などは完全に吹っ飛んで、野尻先生の話に聞き入りました。
途中、草さんが起きてきて、少しだけ、その話を聞いていたのですが、草さんは、その話にはそんなに衝撃を受けなかったようで、また部屋に戻って、寝てしまいました。
後で草さんに聞いた所、野尻先生がおっしゃった舞台のストーリーというのは、現在でもあるらしく、ネットでわざわざ調べてくれて、僕の携帯に動画を送ってくれました。
もちろん、野尻先生の話の本当の主題は、そんな一つの舞台演劇のストーリーの事ではなく、もっと大きな視野での、文化や芸術の事なのですが…
どうも僕は、ちっぽけな事が気になって、大局が見えなくなってしまうようです…
野尻先生も僕も、結局その後眠る事もなく、朝までずっと起きていました。
「今日は、ドナウ川の向こうのお城に上ろうよ」
野尻先生は、目を輝かせながら、僕を誘ってくださいました。
その瞳は、十代の時の野尻先生の好奇心に満ちた少年の目そのものでした。
有名なドナウ川というのは、一体どんな川なんだろう…
ヨーロッパのお城の中というのは、一体どんなものなんだろう…
僕も興奮で、胸が高まっていくのを感じました。
<旅の教訓8>
高尚な人の話を聞く事により、自分の価値観をうんと高める事ができる。
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