2020.10.29西日本紀行記 ~出雲・山口への旅~<26>湯田温泉周遊記

2020年10月29日(木)

 

 秋も、すっかりと深まっていきました。

 ジャケットを羽織らずに外を歩くと、少し肌寒いくらいです。

 

 僕は、今の季節が、ある意味一番苦手です。

 これから、さらにもっと寒くなるのか… また、あの寒い冬がやって来るのか… などと考えると、何だか、どよ~んと暗くなります(笑)

 

 いやいや、そんな事を言っていては、だめですね。

 冬には冬の良さが、ちゃんとあるのですから…

  (2014/2/7 パリブログ 「冬もまた良いものだ…」 参照)

 

 またしても、ブログの更新の間隔が、随分とあいてしまいました。

 そして、今回のブログも、あいも変わらず、出雲・山口旅紀行記です(^^;;

 

 この旅紀行記ブログ、当初の計画通り、30回で終わりますので、あと5回ほどです。

 今年中には、必ず終わりますので、どうか、もう少しだけ、おつき合いください。

    完全にもう、自分のやりたい放題に、暴走しております…

 

 前日の夜、水木杏香先生と別れて、今日(2019年11月14日)は、夜の20:10に山口宇部空港から離陸する、東京行きの飛行機のフライトまで、予定が空白です。

 

 水木先生も、この日は予定が入っているので、一人で山口のどこかを散策するしかありません。

 山口の事を、まだ、よく知らない僕にとって、この空白の時間をどこで過ごしたらいいか、とても迷いました。

 

「ここしばらく、のんびりできていなかったから、温泉にでもゆっくり浸かるか…」と思い、前日、山口で温泉で有名な場所を、水木先生にお聞きしました。

 

 水木先生がお勧めしてくれたのは、山口駅の隣り駅の「湯田温泉(ゆだおんせん)」という所でした。

 この湯田温泉は、温泉があるだけでなく、詩人・中原中也(なかはら ちゅうや)の生誕地としても、有名なのだそうです。

 

 

 地図で調べてみると、湯田温泉に向かうには、新山口からだと、JRの山口線でひたすら北上するようです。

 乗り換えはないですから、迷う事はなさそうですね。

 

 早速、宿泊している東横INN新山口をチェックアウトし、例の大きなスーツケースをゴロゴロと押しながら、新山口駅へと向かいました。

 

 

 新山口駅の切符売り場…

 どうやら、湯田温泉までは240円で行けるようです。

 

 タイミング悪く、電車が発車する時間まで、1時間ぐらいあったので、新山口駅で、山口のうどんを食べる事にしました。

 

 こうやって、時間を気にしないで過ごすのは、本当に久しぶりです。

 

 

 電車が来たようです。

 

 この日も、暖かい小春日和で、のんびりと列車に揺られながら、山口を北上しました。

 

 だいたい30分ぐらい、電車に乗っていた所で、「次は、湯田温泉」というアナウンスが、流れました。

 

 

 無事に、湯田温泉駅に到着…

 

 経営者のMさんから、携帯に電話が掛かってきたので、「今、山口の湯田温泉という駅にいます」と告げると、Mさんは、何回か湯田温泉に旅行に来た事があるとの事で、いろいろと教えてもらいました。

 

 そして、「温泉に行くのなら、坂本竜馬なんかが泊まったという、松田屋ホテルのお風呂に入るのが良いですよ」と勧められました。

「近くには、原田酒舗(はらだしゅほ)という酒屋さんがあって、「獺祭(だっさい)」とかのお酒が安く手に入るから、行ってみると良いですよ」とも言われました。

 

 「獺祭」は言わずと知れた高級地酒ですが、それ以外にも、そのお店には、「日下無双(ひのしたむそう)」という美味しいお酒も、売っているのだとか…

 

 駅を出ると、いきなり出くわした、巨大な ゆるキャラ像に、思わず、腰をぬかしました。

 

 

 なんだか、よく分からないですけど、可愛いです(^^)

 この ゆるキャラは「ゆう太」くん… これ、キツネなのだそうです。

 

 像には なっていないですけど、「ゆう子」ちゃん、という、ゆるキャラもいて、こちらは「ゆう太」くんのガールフレンドだそうです。

 

 これは、湯田温泉の「白狐(びゃっこ)伝説」が、元になっているんですね。

 

 今から、五百年ほど昔の事じゃった。

 湯田の近くに、権現山(ごんげんやま)という小さな山があって、そのふもとには、古いお寺があったそうな。

 

 ある夜の事、お寺の和尚さんが、檀家(だんか)さんの法事に招かれ、お酒をふるまわれて、ほろ酔い加減になった帰り道、お寺に戻ろうと、寺の境内に入ろうとすると、ピチャ、ピチャ… という音が聞こえてきた。

 

 「一体、何じゃろう」と思った和尚さんは、その音がする方へと、近づいて行ったそうな。

 

 すると驚いた事に、白いキツネが一匹、池に足を浸して、ピチャ、ピチャと水をかき、それで水音がしているのだった。

 

 しばらくすると、その白キツネは、人の気配に気づいたのか、池から出て、後ろ足をかばうようにして、ぎこちない走り方で、権現山の方へ消えていったそうな。

 

 「はてはて、こんな夜更けに、なぜ、白キツネが池の中に入っているのじゃろう」

 

 和尚さんは、首を傾げながら、寺へと帰っていった。

 

 次の日の夜中、ふと、和尚さんが目をさますと、やはり、あのピチャ、ピチャという音が聞こえてくる。

 

 さては、昨日の白キツネかと、和尚さんは、そっと起き出して、池の方を見に行った。

 

 するとやはり、あの白キツネであった。

 

 白キツネは、ひとしきり池に足をひたすと、また、ぎこちないあの走り方で、権現山の方へ消えていった。

 

 次の晩も、また次の晩も、白キツネはやってきて、池に足を浸しにやって来た。

 

 そんな事が、七日七晩続いた。

 白キツネは、いつも決まったように池に足をひたし、権現山へと帰っていったが、七日目の夜には、もう後ろ足をかばう事もなく、元気に山に帰って行った。

 

 そして、次の日からは、その白キツネは、姿を見せなくなった。

 

 和尚さんは、不思議に思って、自分も池の水に足を浸してみると、なんと、池の水はちょうど良い暖かさのお湯になっておったそうな。

 

 「そうか、あの白キツネは、この温泉で、怪我をした足を癒しておったのじゃな」

 

 和尚さんは、村里の人達にこの話をすると、村人達は、試しにと、池の近くを掘ってみた。

 すると、たちどころに、温かいお湯が出た。

 

 村人達は喜び、なおも深く掘ると、今度は、泥まみれの仏像が出てきたそうな。

 和尚さんが、ていねいに泥を落とすと、金色色(こんじきいろ)の薬師如来(やくしにょらい)の像が現れた。

 村人達はひざまずいて、その薬師如来像をおがんだそうな。

 

 その後、薬師如来像は、守り本尊として、池のほとりにのお堂に納められた。

 

 この薬師如来をおがんでから、温泉に入ると、どんな難病もたちどころに治ると言われ、お湯に入りにくる人が、後を絶たなかったのじゃそうじゃ。

 

 その後、誰が名づけた訳でもなく、いつしか、湯田温泉の湯は「白狐の湯」と呼ばれるようになったそうな。

 

 湯田温泉駅の近くにある「狐の足あと」という観光案内施設があって、ここでは、足湯に浸かったり、白キツネにちなんだデザートやカフェが、楽しめるんです。

 

 建物に入館するだけなら無料で、中でイスに座って、のんびりする事もできます。

 

 この時ちょうど、雨が降ってきたので、僕は雨宿りもかねて、この「狐の足あと」の中で、しばしの時を過ごしました。

 

 雨が上がったので、また、大きなスーツケースを押して、少し町をぶらついてみました。

 

 

 偶然にも、さっき電話で聞いた原田酒舗を発見…

 

 早速、お店に入ってみました。

 

 大きな荷物を抱えているので、お土産に酒瓶を買うとしても、せいぜい1本が限度ですね。

 

 最初は、父への土産に、定番の「獺祭」を買おうかと思ったのですが、やっぱりそれなりに高いし、それに「獺祭」なら、東京の百貨店でも売っているから、ここでしか買えない「日下無双」を買う事にしました。

 

 この年の年末、実家の岐阜に帰省した時に、この「日下無双」を父と一緒に飲んだのですが、すごく美味しくて、父もすごく満足していました。

 結果的に、これが、父と会った最後の記憶になってしまったのですが…

 

 

 またしばらく、歩いて行くと、石碑がありました。

 

 “明治維新史蹟 松田屋”

 

 この松田屋には、薩長同盟に奔走していた坂本龍馬が、よく泊まりに来たそうです。

 

 ここには、「維新の湯」と呼ばれる温泉があって、そこには何と、高杉晋作や桂小五郎、さらには、西郷隆盛、大久保利通、伊藤博文、井上馨、山縣有朋、大村益次郎、三条実美、もちろん坂本龍馬もですが、そうそうたる明治維新の第一級の主役達が、この湯に浸かっているのだとか…

 

 高杉晋作も、この松田屋を気に入り、当時、玄関横にあった楓(かえで)の幹に「盡国家之秋在焉(今こそ、国家に尽くす時なり)」と文字を刻み、その実際に刻まれた文字を、ホテルの中の資料館で、見る事ができるそうです。

 

 また、松田屋の庭園内には、長州藩の桂小五郎と伊藤博文、薩摩藩の西郷隆盛と大久保利通とが、薩長同盟の具体的な内容の協議の為に会見をした、というテーブルも、あるそうです。

 

 僕は、せっかく温泉に浸かるなら、この維新の湯に浸かろうと、この時、心に決めました。

 

 

 ここが、その松田屋ホテル…

 何というか、一流の風格があります。

 

 ちょっと緊張しましたが、大きなスーツケースを押しながら、玄関の所にいくと、いきなりホテルスタッフの人が「ようこそ、いらっしゃいました!!」と歓迎ムードでやって来て、僕のスーツケースを運んでくれようとしました。

 

 「いえ、宿泊ではなくて、このホテルの『維新の湯』にだけ入れないかと思って、来たのですが…」

 と言うと、申し訳なさそうに、丁重に断られました。

 

 どうやら、維新の湯に入れるのは、松田屋のホテルで宿泊をした人だけなのだそうです。

 まあ、考えてみれば、当然の話ですね。

 

 この松田屋ホテルの創業は、1675年…

 時は、まだ四代将軍・家綱の時代。徳川綱吉が、まだ将軍になる前ですから、本当に歴史があるホテルです。

 

 いきなり勘違いで来てしまった僕のような客にも、きちんと丁寧に接客してくれましたし、本当に一流のホテルだと思いました。

 

 

 ちゃっかりと、松田屋ホテルの人に、この辺りで宿泊なしで温泉に入れる施設の地図を頂いて、その地図を見ながら、一件の温泉にたどり着きました(^^)

 

 この「亀の湯」は、昼の12時から夜の11時半まで、いつでも温泉に入れます。

 

 しかも、たったの390円です。

 

 大きなスーツケースを押しながら、受付に行って、思いっきり、温泉の湯に癒されてきました!!

 

 

 湯上りは、ほんわかとしていいですね。

 

 さてさて、夜になるまでには、まだ、もう少し時間があります。

 

 のんびりと、この湯田温泉界隈を楽しみたいと思います♪

 

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