2019.06.222019年 ヨーロッパ紀行 第24話 ~優しさに支えられて~

2019年6月23日(日)

 

 (In Brno Czech Republic Date  17 May 2019)

 

 今回の旅行の最後に巡る国・チェコ共和国…

 

 到着したのと同時に、自分でもあきれ返るような失敗による受難で、正直な所、チェコの国の印象とか、ブルノの街の印象とかが、まるで感じられないような精神状態でした。

 

 

 ブルノの街並みは、あえていえば、古き良き街という感じでした。

 

 携帯電話を失くしていなかったら、きっとこの素敵な街に、もっと感動するのだろうと思うのですが、正直、あまり気持ちに余裕がありません。

 

「携帯電話がバスの中で見つからなかったのだから、探せばきっと、どこかに紛れ込んでいるでしょう」

 みんながそう言って、元気づけてくれるのですが、僕の中ではすでに、ポケットの中とか鞄の中とか、可能性のある場所は、もう全て見尽くしていました。

 

 いや、それでもまだ、携帯電話がなくなったと決まった訳ではない…

 自分のチェックが甘くて、上着のポケットの底の方とかにあるかも知れないし…

 

 次に泊まるホテルのラウンジのような場所で、早速、一つ一つの鞄や持ち物を、片っ端から見てみました。

 

 Kさんと高天麗舟先生も、手伝ってくださって、一つ一つの携帯が入る可能性のあるものは、全てしらみつぶしにチェックしました。

 

 その結果、やはり残念ながら、携帯電話はどこにもないという事が、ハッキリ分かりました。

 女性陣2人に手伝って頂いて、3人でチェックしたのですから、今度は絶対に間違いありません。

 

 でも、そうなってくると、今度は、あの携帯は一体どこに消えてしまったのだろう… という疑問がわいてきます。

 

 間違いなく、わかっているのは、オーストリアからチェコの国境を越えた時には、間違いなくバスの中に存在していたという事…

 つまり、オーストリアのウィーンに忘れてきた可能性は、ゼロです。

 

 とはいえ、バスガイドさんの話では、バスの座席の所には、携帯電話の忘れ物はどこにもなかったという事です。

 確かに、次のお客様を乗せる前に、普通、座席とかの忘れ物は全部チェックするでしょうし、もしも忘れ物があったら、保管しておいてくれるはずです。

 

 このパターン、半年前に行った奈良旅行で携帯を失くした時と、全く同じパターンです。

 

 あの時、あんなに懲りたのに、同じ事を繰り返す自分の馬鹿さ加減に、怒りで立ちくらみがしそうです。

 

 

 とりあえず、みんなで昼食を取ろうという話になって、泰永会8名のメンバーで、ブルノ駅の方に向かって歩いて行きました。

 

「その内に、絶対に出てくるから、大丈夫だって…」

 高天麗舟先生が、道すがらずっと僕を慰めてくれました。

 

 僕自身は、悩んでいるそぶりは出さないように、とにかく笑顔でいたつもりだったのですが、どうもはたから見ると、とてもそんな風には見えないようです。

 

 ブルノの街の中心部にあったスパゲティー屋さんで、昼食をしました。

 

 さすがにこうなると、お酒を飲む気力はありません。

 それどころか、食欲すらも、あまりなかったのですが、腹が減ってしまっては前に進めないので、カルボナーラを注文しました。

 

 あの時、奈良で携帯電話を失くした時は、どうやって見つけたのだろう…

 

 そうだ… GPS機能で、携帯の場所を特定したらいいんだ。

 

 前回は、見事にそれで携帯電話を見つけて、解決したのでした。(あの時、携帯電話は大阪の河内天美にあった…)

 (2018/11/9ブログ 「旅の後日譚 ~変わりゆくものと変わらない真実と…~」 参照)

 

 その為には、チェコにあるApple Storeに行って、そこで探してもらうしかない… と、僕は考えました。

 

 カルボナーラが来た時に、ウェイトレスの人に、この近くにApple Storeがないか聞いてみました。

 

 すると、親切なウェイトレスさんは、地図でどこにApple Storeがあるかを教えてくださいました。

 どうやら、この近くにApple Storeは、ないらしく、ブルノ郊外まで行かなくては、ならないようです。

 

 それを隣りで見ていたヒデ君は、Apple Storeに行かなくても、簡単に携帯電話が探せる方法がある事を教えてくれました。

 

 ヒデ君は、パソコンやインターネットに滅法強いのです。

 早速、自分の携帯タブレットを出して、どうやったら、GPS機能を使って携帯電話を発見できるかというのを、全部調べてくれました。

 とても心強い味方です。

 

 ヒデ君が言うには、同じiPhoneの携帯電話さえあれば、「iPhoneを探す」からログインして、同じような事ができるそうです。

 

 すると、相模泰生先生が、自分の携帯を僕に貸してくださいました。

 僕は本当に、優しい仲間に囲まれています。

 

 泰生先生の携帯を借りて、「iPhoneを探す」からログインしようとするのですが、自分で決めたパスワードが、何だかわからなくなってしまいました。

 

 自分が決めそうなパスワードを、行き当たりばったりで何度も入れてみるのですが、どうしても思い出せません。

 

 「確か、iCloudのパスワードというのは、大文字と小文字が両方入っていたような気がします」

 と、泰生先生の一言で、ハッと我に返って、パスワードを思い出しました。

 

 それを入力すると、無事にログイン…

 またしても、泰生先生に助けられました。

 

 この時点で、思わずガッツポーズを取ってしまうほどに喜んだのですが… そんなに甘くはありませんでした。

 

 前回、携帯を失くしたのは日本で、ほとんどの場所でGPSが機能しますが、ここは日本から遠く離れた海外です。

 どうやら、今、僕の携帯電話はGPS機能が引っ掛からない所にあるか、電源が入っていないようです。

 

 とはいえ、携帯電話の充電は、ウィーンのホテルでほぼ100%になっていたはず…

 電源がゼロになってしまうのは、おかしい…

 

 バスで僕の隣りの座席に座っていた松里さんが、僕がバスから降りた時には、間違いなく、僕の席には何も忘れものはなかったと証言してくださいました。

 

 となると… ここにきて、盗難の可能性も出てきました。

 

 半年前に携帯を失くした時も、ずっと盗難に遭ったと思い込んで、結局はそうではなかったので、なるべくそんな風に考えたくなかったのですが、忽然と携帯が消えてしまった理由がわかりません。

 

「いや、盗難はないと思いますよ」

 冷静なヒデ君が、そう言ってくれました。

 

 携帯電話を盗んだ所で、それをどうこうして、利益を得る事はできない… という訳です。

 

 そんな話を聞いていた、野尻泰煌先生が、こう言いました。

「浅野さん、大丈夫だよ。僕はその携帯見つかると思うよ」

 

 野尻先生が、こんな感じでボソッと言われる事は、ほぼ間違いなく当たります。

 

 さらに、高天麗舟先生が、こう言いました。

「大丈夫。私も絶対に出てくると思うよ。今回の旅行で、みんな物を失くしているけど、毎回ちゃんと見つかっているし…」

 

 この二人に、こう言われると、僕も何か自信がわいてきました。

 多分、出てくるだろうと…

 

 それに、みんなの優しい気持ちがすごく嬉しいんですね。

 別に、携帯電話を買い直す話で済むのだったら、この気持ちを受け取れただけで、例え携帯が出てこなかったとしても構わない、とまで思いました。

 もちろん、あの携帯には、レセプションの貴重な写真が入っているから、そういう訳にはいきませんけど…

 

 草さんが、「一枚引いてみてください」と言って、22枚のカモワン・タロットを差し出しました。

 

 

 「塔」のカード…

 僕は何気にこのカード、好きなんです。

 

「どうですか。携帯電話は出てきますか?」

 草さんがいたずらそうな目で、そう聞きます。

 

 「はい。このカードなら間違いなく出てきますね。なんか今、自分でも確信しました。ありがとうございます!!」

 

 一般的には、塔のカードが出たら、「希望が打ち砕かれる」と読む事が多いんですけど、このカモワン・カードの「塔」は祝福だと、以前カモワンさんの弟子のスキップさんから聞いた事があります。

 (2014/6/19パリブログ 「カモワン・タロットとパリのエテイヤ」 参照)

 

 でも、そういった理屈は抜きにして、このカードを一目見た時に、「携帯は見つかる」と確信したんですね。直感的なものだから、理由は説明できないのですけど…

 

 一連の会話の流れを聞いていた、冷静なヒデ君がこう言いました。

「いや、この状況で携帯が見つかるのは、厳しいと思いますよ」

 

 これは、当然の意見です。

 GPSが機能しなくて、一体、携帯がどこにあるのかすら分からない状況ですし、バスガイドさんに聞いた話でも、松里さんの証言でも、バスの座席に携帯電話はなかったのですから、普通に考えて見つかる訳はありません。

 

 横澤様にも、一連の事の詳細を話してみましたが、こう言われました。

「こちらでも、手を尽くしてみますけど、今回、携帯電話が出てくるのは厳しいと思います。でも、海外というのは、本当にいろいろなトラブルが起こる可能性があって、極端な話、命の危険だってある中で、携帯電話の紛失程度で済んだんだ… という風に考えるのも、一つの考え方だと思います」

 

 確かに、これは本当にもっともな意見だと思いました。

 

 野尻先生が、こう言いました。

「浅野さん、僕はその携帯電話は出てくると思っているけどね。万が一、出てこなくったっていいと思った方がいいよ。写真の事は、全然気にしなくて構わないよ。こっちでもたくさん撮ってあるからさ。それよりも、チェコの旅を楽しもうよ」

 

 涙が出るほどに、嬉しい言葉でした…

 

 ある意味、僕の中で「携帯は出てくる」という根拠のない自信はあるのですが、どちらにしても、未来なんてものは確定していません。

 

 携帯電話が出てこないという可能性だってありますけど、それならそれで、覚悟を決めて強く生きていけばいいし、「携帯が出てくるか、出てこないか」と相対的に考えている時点で、大切なものを見失ってしまう…

 

 あとは横澤様に全てお任せして、結果がどうあろうと強く生きていこう…

 

 こんなにも、たくさんの人の優しさに支えられて、こうやって生きている…

 それだけでも、十分過ぎるくらいに感謝すべき事なのだから…

 

 そう思ったら、気持ちがすっきりとしてきました。

 

 <旅の教訓24>

 たくさんの人の優しさに支えられて、生きている。それだけで、ただただ感謝。

 

※「2019年ヨーロッパ紀行」のアーカイブは、こちら

 

もし良かったら、クリックしてください(^^)