2019.06.132019年 ヨーロッパ紀行 第14話 ~クリムトを奮い立たせた情熱~

2019年6月13日(木)

 

 (In Vienna Austriay Date  14 May 2019)

 

 オーストリアのウィーンの街に到着して、早速、我々が向かったのは、クリムトの絵の所蔵では世界一を誇るベルベデーレ宮殿です。

 

 クリムトという名は、今現在、東京上野の「東京都美術館」でクリムト展も開催されていますし、日本でも定着しつつありますが、非常に色っぽい作風のオーストリアの画家です。

 

 僕は、このオーストリアに来るまでは、クリムトがブームになっているのは日本だけだろうと思っていたのですが、ここウィーンでも、クリムトは大ブームで、繁華街に出かけると、必ずと言っていいほどクリムトの絵を扱ったおみやげ屋さんがあります。

 

 

 ベルベデーレ宮殿の、クリムト展の入り口…

 

 今回、クリムト展に行ってみようという事になったきっかけは、高天麗舟先生が大のクリムトのファンだからです。

 

 せっかくだから、みんなで上野の東京都美術館でも見られない究極のクリムトの至宝を、クリムトの本拠地ウィーンで、見つくしてしまおう、という事になりました。

 

 

 高天麗舟先生を先頭に、いざ、ベルベデーレ宮殿の中へ…

 

 何だか、ワクワクします。

 

 

 ふと、宮殿の広場の方に目をやると親ると、おしゃれな女性のスフィンクス像がありました。

 

 スフィンクスって、男性のイメージしかなかったけど、こういう女性のスフィンクスもありか… と、ハッとさせられました。

 

 

 中に入ると、豪華絢爛な天井と部屋…

 

 さすがは本場、芸術の都・ウィーンの美術館だけはあります。

 

 階段を上に上がって、さあ、いよいよクリムトの作品との対面です。

 

 

 優美さに豪華さを重ね合わせた、まさに、クリムトの珠玉の芸術作品…

 クリムトが描く女性は、本当に美しいです。

 

 グスタフ・クリムト(1862~1918)は、オーストリア・ウィーンが誇る代表的な画家…

 

 7人兄弟の2番目の子供として生まれ、後に、彫刻師と彫金師となった二人の弟たちも、兄の絵の装丁を手伝ったりしています。

 

 

 これは、クリムトのひまわりです。

   海外の美術館は、写真OKだからうれしい…

 

 クリムトの名声はだんだんと広がっていき、文部大臣から、ウィーン大学の天井画の依頼を受けるまでになりました。

 

 しかし、大学側から「赤裸々すぎる」などという理由で、クリムトが提出した作品の事で大論争になり、絵を依頼した文部大臣までが、攻撃される事態となってしまいました。

 

 この事からクリムトは、事前に受け取った報酬を全て返却し、契約を破棄したそうです。

 

 クリムトはこの頃から、アカデミックなものに、不信感を持つようになりました。

 

 おりしも、フランス・パリでは、ピサロ、モネ、ルノワール、シスレー、ドガらが「印象派」として、保守的な王立アカデミーから分離し、独自の路線で活動を始めた時…

 

 クリムトも、ウィーンの若手芸術家達をまとめ上げ、ウィーン分離派を結成します。

 

 その分離派の展示施設が、ウィーンにある「金のキャベツ」とも呼ばれるセセッション館です。

 

 

 野尻泰煌先生と一緒に、クリムトの最も有名な絵である「接吻」の前で、写真を撮らせて頂きました。

 

 野尻泰煌先生は、クリムトの絵の細部まで、じーっと見つめて、こう言いました。

 

「このクリムトという男は、いい加減な男だねえ…」

 

 これは、クリムトをけなしているのではなくて、野尻先生なりに、クリムトに親しみを込めた言葉です(笑)

 

「浅野さん、ほら、この絵の細かい所見てごらんよ。結構いい加減に描いてるよ。おそらく、こういう性格なんだろうね。まあ、この絵は、構図の良さで持たせてるから、それでいいんだろうけどさ」

 

 野尻先生は、書の作品を見ると、書いた人がどういう境地で、どういう気持ちで書いているかが、瞬間的に分かってしまうそうです。

 

 書の作品に、その人の人となりが、全部出ているのだそうです。

 

 おそらく、絵の作品を見ても、野尻先生には同じように、相手の境地が分かってしまうのでしょう。

 

 クリムトは生涯独身であったにもかかわらず、クリムトの家には、多い時には15人もの女性が寝泊りしていて、その内、何人もの女性が裸婦モデルを務めていたとの事…

 

 クリムトは、そのモデルの女性達と愛人関係となっていて、非嫡出子の子供が、何人も存在しているそうです。

 

 確かに… いい加減な男です(笑)

 

 考えてみると、クリムトの作品には、自画像が一枚もありません。

 

 クリムトは、こんな事を語り残しています。

 

「私は、自画像は描かない。自分自身には全く関心がないし、関心があるのは、女性にだけだ」

「私には特別な能力などは無いし、これと言って、見るべきものも無い。私は、だだの絵描きに過ぎない」

 

 プライベートの実生活はともかくとして、クリムトの絵に対する情熱は、本物でした。

 

 クリムトを奮い立たせたものは、美を追い求めるあくなき情熱だったのかも知れません。

 

 もっとも、その多くの対象は、美しい女性だったようですが…

 

 クリムトの多くの作品を見ると、ふと、そんな風に思えてきます。

 

 クリムト展を後にして、ベルベデーレ宮殿の外に出てみると…

 

 

 広いてきれいな、庭が広がっていました。

 

 まだ外は明るいものの、オーストリアはサマータイムで1時間進んでいますから、もう、とっくに夕方を回っています。

 

 さて、今日はこれから、それぞれウィーンのアパルトマンに行って、少し休む予定です。

 

 <旅の教訓14>

 あくなき純粋な情熱によって、本物の芸術が生み出される。

 

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